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【店舗経営者向け】POSデータとは?利益率を高める分析手法と活用ステップを徹底解説

2026 8/02
経営コラム
2026年8月2日

「毎日レジを打って売上を集計しているけれど、いまひとつ経営改善や利益アップに活かしきれていない…」そんな悩みを抱えていませんか?

元コンビニ本部社員として現場のPOS運用に携わり、現在は中小企業診断士として飲食店や小売店を支援している私から見ても、POSデータはまさに「レジの中に眠る最大の経営資源」です。

売上が伸び悩む時代において、店舗経営で本当に大切なのは「勘や経験」だけに頼らず、「データに基づいた粗利益の向上」を狙うことです。この記事では、POSデータの基本知識から、お店の利益をしっかり残す4つの分析手法(ABC分析・トレンド分析・バスケット分析・RFM分析)、飲食店・小売店別の具体的な活用策、そして現場で成果を出す実践ステップまでわかりやすく解説します。今日からすぐ試せる工夫も満載ですので、ぜひお店の業績改善にお役立てください!

この記事の要点

POSデータは「購買行動の事実」を教えてくれる宝の山:いつ・何が・いくらで・いくつ売れたかという5W1Hのデータを追うことで、勘だけに頼らない確実な店舗経営が可能になります。
利益率アップを叶える「4つの分析手法」:「ABC分析」で売れ筋と死に筋を見極め、「トレンド分析」で発注ロスを減らし、「バスケット分析」でついで買いを促し、「RFM分析」で常連さんをしっかり囲い込みます。
値引きに頼らず「粗利益」を最大化する:単なる売上数量だけでなく「粗利益額」を基準に商品やメニューを見直すことで、廃棄ロスや売り切れ(機会損失)を減らして利益率を高められます。
現場スタッフと一緒に回す「仮説検証PDCA」が成功の鍵:データをただ眺めるのではなく、「仮説を立てて売り場を変え、翌週のデータで答え合わせをする」取り組みを現場と一緒に楽しむことが一番の近道です。

POSデータとは?店舗経営で注目される理由と基礎知識

店舗経営の現場でよく耳にする「POSデータ」ですが、その本当の価値や効果的な使い方までマスターできているお店はそれほど多くありません。まずは、POSデータの基本的な仕組みと、なぜ今の時代に欠かせないのかを一緒に整理していきましょう。

POSデータの定義と基本構成(5W1H)

POS(Point of Sale=販売時点情報管理)データとは、レジでお会計が行われたまさにその瞬間に、自動的に記録される販売実績データのことです。

単に「いくら売れたか」という金額だけでなく、以下のような「5W1H」の生々しい情報がギッシリ詰まっています。

項目

記録されるデータ内容

店舗経営での活用イメージ

販売日時(When)

何年何月何日、何時何分

ピーク時間帯の把握、無駄のないシフト作成

販売店舗・端末(Where)

店舗ID、レジ番号、担当者コード

レジごとの処理スピード評価、店舗比較

販売商品(What)

商品名、JANコード、部門・カテゴリ

売れ筋・死に筋の発見、カテゴリ別の売上構成

販売価格・数量(How much / How many)

販売単価、購入数量、小計・合計金額

粗利益額の計算、客単価アップの分析

決済詳細・値引き(How)

現金、カード、電子マネー、値引き・クーポン

キャッシュレス比率の把握、販促イベントの効果検証

「売上データ」と「POSデータ」の根本的な違い

よく「うちは毎日Excelで売上を集計しているから大丈夫」とおっしゃるオーナー様がいらっしゃいますが、実は従来の日計表(売上合計データ)とPOSデータには大きな違いがあります。

日計表が教えてくれるのは「1日で合計10万円売れた」という最終結果だけです。一方でPOSデータは、「何が・何時に・どの商品と一緒に・いくらで売れたか」というお客様の行動プロセスを具体的に見せてくれます。

たとえば「1日の売上が10万円だった」という数字だけ見ても、明日どう改善すればいいかはわかりませんよね。ですがPOSデータを見て「ランチタイムの12時〜13時にお弁当(500円)が集中して売れ、13時以降は売り切れてしまっていた」と分かれば、「12時前にお弁当の陳列量を増やしておけば、もっと売上が伸びたはずだ」という具体的で即効性のある打ち手が見えてきます。

近年、店舗経営でPOSデータ活用が急務とされる3つの理由

中小の飲食店や小売店において、POSデータの活用が今とても重視されているのは、主に次の3つの背景があるからです。

  1. 原材料費や人件費の高騰による「粗利益」の圧迫
    売上をどんどん伸ばすのが難しい時代だからこそ、利益を残すには「粗利益率の向上」と「無駄なロスの削減」が欠かせません。POSデータを活用して食材の廃棄や値下げ処分のロスを減らすことが、そのまま営業利益の改善に直結します。
  2. お客様のニーズの変化と商品の短ライフサイクル化
    「昔からの定番だから」「店長の勘で」という理由だけで仕入れやメニュー決めを続けていると、時代の変化に取り残されて売れ残りの山を作ってしまうことも。データに基づく客観的なトレンド把握が必要です。
  3. 人手不足とお買い物の快適性を両立する省力化
    時間帯ごとの客数グラフを見れば、「お客様が集中する時間帯にしっかり人員を配置し、静かな時間帯の無駄な人件費を抑える」といったメリハリのあるシフト作成が可能になります。

「POSデータ」と「ID-POSデータ」の違い

最近はPOSデータと並んで「ID-POSデータ」という言葉もよく聞かれますね。両者の違いは、ズバリ「お客様(Who)の情報が紐づいているかどうか」です。

通常のPOSデータ(商品軸):「いつ、何が、いくつ売れたか」を把握するデータ。商品の仕入れ管理や在庫の最適化、時間帯ごとの分析に向いています。
ID-POSデータ(人軸):ポイントカードや会員アプリなどを通じて「誰が(年代・性別・会員ランク)、いつ、何を買ったか」を記録するデータ。リピート率の分析や、お客様に合わせたクーポン配信などに威力を発揮します。

まずは自店舗の状況に合わせて、土台となる「POSデータ(商品軸)」の分析から焦らずマスターしていくのがおすすめですよ。

POSデータを活用して店舗の利益率を高める4つの分析手法

いざPOSデータを目の前にすると、「数字がたくさん並んでいてどこから見ればいいか分からない…」と戸惑ってしまうこともありますよね。お店の粗利益を効率よくアップさせるには、まず基本となる4つの分析手法を押さえておけば安心です。

1. ABC分析(売れ筋・死に筋の選別と棚割りの最適化)

ABC分析とは、「パレートの法則(80:20の法則)」を活用して、お店の商品を貢献度が高い順にA・B・Cの3つのグループに分ける手法です。

Aランク(お店を支える主力商品・売れ筋):全体の売上の約7割を占める上位グループ(アイテム数では全体の2割程度)。
対策:絶対に売り切れ(機会損失)を起こさないようしっかり在庫を確保し、売り場の一等地(目線の高さ=ゴールデンゾーン)に並べます。Bランク(標準的な中堅商品):売上貢献度の累積70〜90%を占めるグループ。
対策:売れ行きの変化を定期的に観察し、Aランクに育てるか現状維持で運用します。Cランク(伸び悩んでいる死に筋商品):売上貢献度の残り10%を占めるグループ。
対策:死筋排除(商品の入れ替え)を検討したり、仕入れ量や棚のスペースを縮小します。

◆アドバイス
実は多くの現場で見かけるのが、「売上高(売上金額)」だけでABC分析をしてしまう失敗です。これだと、単価が高いだけで粗利益が少ない商品がAランクに入り、逆に粗利率が高くてしっかり利益を稼いでくれている商品が低く評価されてしまうことがあります。
お店の利益率を高めるなら、「販売数量×1個あたりの粗利=粗利益額」を基準にしたABC分析を行うのが鉄則です。本当の「稼ぎ頭」がくっきりと見えてきますよ。

2. トレンド分析(時系列・季節・時間帯別の需要予測)

トレンド分析は、売上や販売数量の波を「時間帯別」「曜日別」「月別(季節)」などの時間軸で捉える手法です。

時間帯別トレンド:飲食店なら「何時に満席になりやすいか」、お店なら「お弁当や惣菜が売れるピーク時間」を把握します。ピークの30分前には商品をバッチリ揃えておく準備に活かせます。
曜日別・季節別トレンド:「週末に売れ行きが跳ね上がる商品」や「気温が上がると急に売れる冷たいドリンク」などの需要変化を予測し、過剰在庫と欠品を同時に防ぎます。

3. バスケット分析(併売分析による客単価アップ)

バスケット分析は、「1回のお会計(1枚のレシート)の中で、どの商品とどの商品が一緒に買われているか」を読み解く手法です。

「ビールとおむつが一緒に買われやすい」という有名な話のように、一見意外な組み合わせや相性の良いセットが見つかるのが面白いところです。

活用例①:「パスタ」を買うお客様の多くが「オリーブオイル」や「トマト缶」も買っていると分かったら、すぐ隣に並べて陳列(クロスセル)。
活用例②:居酒屋で「生ビール」と一緒に頼まれやすいスピードメニューをセットで案内し、注文しやすくする。

値引きに頼らなくても、組み合わせの工夫ひとつで客単価を自然と引き上げることができます。

4. RFM分析(顧客の層別化とリピート率向上の施策 ※ID-POS活用)

RFM分析は、会員データなどが紐づいたID-POSを活用して、お客様を次の3つの指標でグループ分けする手法です。

1.Recency(直近購入日):最近いつお買い物をされたか(直近なほど離脱しにくい)
2.Frequency(来店頻度):どれくらいのペースで通ってくれているか
3.
Monetary(購入金額):これまで合計いくら使ってくれたか

これにより、「いつも来てくれる最優良顧客」「最近足が遠のいている離脱予備軍」「新規のお客様」などが分かります。全員に同じチラシを配るのではなく、「久しぶりのお客様限定の特別クーポン」を送るなど、ピンポイントで効果的なアプローチができるようになります。

【業種別】飲食店・小売店におけるPOSデータ利益改善の具体策

POSデータの基本的な考え方が分かったところで、「うちのお店ならどう活かせるの?」という疑問にお答えしていきましょう。「飲食店」と「小売店」に分けて、すぐに試せる具体的な改善アイデアをご紹介します。

【飲食店(居酒屋・カフェ・レストラン)での活用策】

飲食店にとって一番のテーマは、食材費と人件費の最適化です。POSデータを使えば、このコストを上手にコントロールできるようになります。

1. メニュー別「粗利×注文数」マトリクスでメニューを見直す

POSデータからメニューごとの「注文数」と「1皿あたりの粗利益額」を掛け合わせて、全メニューを次の4つのグループに分けてみましょう。

【メニュー分析マトリクス】
高粗利 ┌──────────────────────┬──────────────────────┐
       │ 【要育成】            │ 【花形(エース)】   │
       │ 粗利は高いが注文数が少 │ 粗利も注文数も高い   │
       │ ない(露出・POP強化) │ (売り場の露出を維持)│
       ├──────────────────────┼──────────────────────┤
       │ 【問題児】            │ 【薄利多売】          │
       │ 粗利も注文数も低い   │ 注文数は多いが粗利が │
       │ (メニュー削除・改定)│ 低い(値上げ・原価改善│
低粗利 └──────────────────────┴──────────────────────┘
       低注文数               高注文数

具体アクション:注文数は多いけれど利益が出にくい「薄利多売」メニューは、盛り付けの量を調整したり、原価を抑えられる工夫をしたり、50円〜100円の値上げを検討します。逆に「高粗利なのにあまり注文されない」メニューは、メニューブックの左上(パッと目に入る場所)に載せたり、おすすめPOPを貼ったりしてアピールしてみましょう。

2. 時間帯別データで仕込み量を調整し、フードロスを削減

「週末用に魚を仕込みすぎて、週明けに捨ててしまった…」といった経験はありませんか?

POSデータの曜日別・時間帯別データを確認し、天気や近隣のイベント予定も考慮しながら仕込み量を調整しましょう。無駄な廃棄ロスを減らすだけで、食材費(Fコスト)はしっかり削れます。

【小売店(アパレル・雑貨・食品スーパー・専門店)での活用策】

小売店で成果を出すポイントは、「棚ごとの売場効率の最適化」と「売り切れ・過剰在庫の防止」です。

1.ABC分析に合わせて「棚のスペース(フェイシング)」を並べ替える

お店の棚の広さには限りがありますよね。実は、利益にあまり貢献していないCランク商品が目立つ場所を占領してしまっているケースがよくあります。

具体アクション:粗利益額が大きいAランク商品は、棚に並べる列数(フェイシング)を1列から2〜3列へ広げてみましょう。お客様の目に留まりやすくなって売上が伸びるうえ、補充の手間も減ってピーク時の棚スカスカ(売り切れ)を防げます。

2.安売りに頼らない!割引施策の「本当の成果」を検証する

売上が伸び悩むと、つい「全品20%OFFセール」や値下げシールに頼りたくなりますよね。ですがPOSデータを追ってみると、「数は出たけれど、割引しすぎて粗利益の合計はセール前より減っていた…」という悲しい結果になっていることも少なくありません。

具体アクション:セールを行ったあとは、必ず「粗利益の総額」をチェックしましょう。「利益が残らない安売り」からは卒業し、バスケット分析を活用して「2点お買い上げで100円引き」といったまとめ買い・ついで買いの工夫へ切り替えるのが賢い方法です

3.時間帯別の客数に合わせてレジ・品出しの体制を整える

「夕方の混雑時にレジで行列ができ、諦めて帰ってしまうお客様がいた…」という機会損失は本当にもったいないですよね。

POSデータの時間帯別レジ通過件数をチェックして、混雑する時間帯には品出しスタッフがレジのフォローに入れるようにしたり、静かな時間帯の人数を調整したりすることで、人件費(Lコスト)を抑えつつお客様をお待たせしない体制を作れます。

POSデータ活用を成功させる実践ステップと運用の注意点

データ分析を「へぇ、そうなんだ」で終わらせず、お店の業績アップにつなげるための実践的な3ステップと、知っておきたい注意点をお伝えします。

業績を伸ばすPOSデータ活用の3ステップ

ステップ1:分析の目的を決める(データを「見る」のではなく「課題を解く」)

よくある失敗が「とりあえずデータをダウンロードしてグラフを作ってみる」ことです。目的がないデータ分析は、どうしても時間の無駄になりがちです。

まずは「お店の何を解決したいか」を1つに絞り込みましょう。

✕ あいまいな目的:「売上を伸ばすためにデータを見る」
⭕具体的な目的:「ランチの客単価をあと80円上げるにはどうする?」「夕方のお弁当の廃棄率を8%から4%に減らすには?」

ステップ2:見やすいフォーマットで定期的にチェックする

目的が決まったら、POSレジの管理画面やExcelを使ってデータを整理します。毎週・毎月同じフォーマットで「粗利益額ランキング」「時間帯別客数」「一緒に買われている商品」をサクッと確認するルーティンを作っておくのが長続きのコツです。

ステップ3:現場スタッフと一緒に「仮説検証PDCA」を楽しむ

データの分析結果は、オーナーや店長だけが抱え込んでいても意味がありません。アルバイトやパートさんにも共有して、みんなでアイデアを出し合いましょう。


【お店での仮説検証PDCA】
[Plan:仮説]「データによるとサンドイッチとコーヒーが一緒に買われやすい。セット案内のPOPを貼れば客単価が上がるかも!」
[Do:実行]「レジ横と売場にPOPを貼って、1週間お声がけを試してみよう」
[Check:検証]「1週間後のPOSデータを確認!併売率が12%から22%にアップ、客単価も60円上がった!」
[Action:定着]「うまくいったね!ほかの時間帯のスタッフにも共有してPOPを定番化しよう」

このように「仮説を立てて売り場を変え、翌週のデータで答え合わせをする」というゲーム感覚の取り組みにすると、現場のスタッフもワクワクしながら協力してくれますよ。

POSデータ運用で知っておきたい3つの注意点・限界

POSデータはとても強力な相棒ですが、完璧ではありません。以下の限界も頭に入れておくと、より深い判断ができるようになります。

1. 「買わなかったお客様(非購買データ)」の動きは見えない

POSデータが教えてくれるのは、あくまで「お会計まで進んだ結果」だけです。

「お店に入ったけれど、欲しいものがなくて何も買わずに帰られたお客様」
「買いたかった商品が売り切れていたので、仕方なく別のものを買ったお客様」

こうした声なき機会損失はデータに残りません。だからこそ、定期的にオーナーや店長自身が店頭に立ち、お客様の様子や棚の空き具合を自分の目で観察する「現場の体感・顧客視点」がとても大切になります。

2.天気や地域のイベントなどの外部要因もメモしておく

「今週はなぜか売上が落ちたな…」という時、データだけ見ていると原因を見誤ることがあります。大雨や台風、近隣での工事、競合店のオープンなど、外の要因が影響していることも多いからです。日々のデータには「天候」や「地域の行事」をひと言メモしておきましょう。

3. 個人情報の管理とセキュリティ(ID-POS運用時)

会員情報などを扱うID-POSを導入する場合は、個人情報の扱いに十分な注意が必要です。スタッフごとのアクセス権限を設定したり、パスワード管理を徹底するなど、安心・安全な運用を心がけましょう。

POSデータを活用した店舗業績改善の成功事例

ここでは、実際にPOSデータを活かして大きな改善成果を出された2つのお店の実例をご紹介します(※守秘義務のため一部の数値を加工しています)。

事例1:【居酒屋】粗利益額のABC分析で「営業利益率の改善」

背景と課題

郊外にある40席の和風居酒屋様。食材費や光熱費の値上がりで利益が圧迫されていました。かといって単純な値上げをすれば、大切にしてきた常連さんが離れてしまうかもしれない…という深い悩みを抱えていらっしゃいました。

具体的な取り組み

  1. 全メニューの原価を再計算(原材料費、消耗品費、労務費、経費)し、「粗利益額」でABC分析を実施
    全48メニューの原価を洗い直し、過去3ヶ月のPOSデータから「粗利益額(注文数×1皿あたりの粗利)」で並び替えました。
  2. 「薄利多売メニュー」の改善と「高粗利メニュー」のアピール
    分析の結果、名物としてよく出ていた刺身盛合せの原価率が50%を超えており、実は利益にほとんど貢献していないことが判明。仕入れルートと盛り付けを見直して原価率を40%まで改善しました。
    さらに、調理の手間が少なく粗利率が75%と高い「自家製豆腐料理」や「旬の野菜焼き」を主力商品と位置づけ、メニューブックの一番目立つ場所に写真付きで掲載しました。

成果

常連さんの客足を落とすことなく、店舗全体の平均粗利益率が向上!年間の営業利益が約200万円以上増え、原材料費の高騰分をしっかり吸収して黒字幅を広げることができました。

事例2:【和洋菓子店】時間帯分析と併売分析で「廃棄率が半減&客単価アップ!」

背景と課題

商店街にある老舗の和洋菓子店様。夕方に出来上がる生菓子の売れ残りが多く、毎月売上の約8%もの廃棄ロスが発生していました。また、「大福1個だけ」といった単品買いが多く、客単価が伸び悩んでいました。

具体的な取り組み

  1. 時間帯別トレンド分析で製造スケジュールを変更
    POSデータを時間帯別に分析すると、生菓子が最も売れるのは「16時〜18時の会社帰り・買い物帰り」だと判明。これまでは朝一番に全量を作って並べていましたが、14時に2回目の製造を行う体制に変更。売り切れの心配を減らしつつ、夕方以降の作りすぎを防ぎました。
  2. バスケット分析を活用した「レジ横ついで買い」
    併売データを調べると、進物用の箱菓子を買うお客様が「ご自宅用の個包装焼き菓子」を一緒に買う確率が高いことがわかりました。そこでレジ横に「本日のおすすめ商品」を置き、お会計時の自然な声かけを徹底しました。

成果

生菓子の廃棄率が半減。さらにレジ横のついで買い効果で、平均客単価がアップし、業績改善につながりました。

どちらの事例も、大掛かりなシステムを入れたわけではありません。「POSデータから事実を掴み、現場の運用(仕込み・メニュー・陳列)を少し工夫しただけ」で、大きな利益を生み出しています。

まとめ

店舗経営において、POSデータはオーナー様の勘や経験を補い、確実な根拠をもって「利益率向上」へ導いてくれる最高のナビゲーターです。

最後に、今回の重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  1. POSデータは「購買行動の事実」を教えてくれる
    5W1H(いつ・何が・いくらで・いくつ売れたか)を見える化することで、売上だけでなく「粗利益」をしっかり残す経営にシフトできます。
  2. 利益を高める4つの分析手法を活用する

  ABC分析:「粗利益額」を基準に売れ筋・死に筋を見極め、棚割りやメニューを最適化する。
  トレンド分析:時間帯別・曜日別の波をつかみ、欠品と廃棄ロスを防ぐ。
  バスケット分析:一緒に買われている商品を把握し、クロスセルやセット販売で客単価を伸ばす。
  RFM分析:お客様の層に応じたアプローチでリピート率を高める

  1. 現場スタッフと一緒に「仮説検証PDCA」を回す
    「ランチの客単価を50円上げる」といった目的を決め、仮説を立てて売り場を変え、翌週のデータで答え合わせをするサイクルをみんなで楽しく継続することが成功の鍵です。

POSデータ活用を始めるのに、難解な統計学の知識や何百万円ものシステム投資は必要ありません。まずは今お使いのPOSレジから過去1ヶ月分のデータをCSVで出力して、「粗利益額でのABC分析」から一歩を踏み出してみませんか?

レジの中に眠っているデータを呼び覚まし、現場のスタッフさんと一緒に「利益の出る強いお店づくり」を目指していきましょう。中小企業診断士として、あなたの店舗の挑戦を心から応援しています!

よくある質問(FAQ)

POSデータ分析を始めるには、高価な分析ソフトや専用システムが必要ですか?

いいえ、高価な専用ツールがなくても無料で十分始められます。現在普及しているクラウドPOSレジ(スマホやタブレットを利用するタイプ)の多くには、ABC分析や時間帯別集計などの標準レポート機能が最初から備わっています。また、Excelの「ピボットテーブル」機能を使えば十分に対応可能です。まずは追加コストをかけずに、既存のPOSレジからCSVデータを抽出して手軽に試してみるのがおすすめですよ。

小さな個人店舗や1店舗のみの経営でもPOSデータ分析は効果がありますか?

非常に大きな効果があります。むしろ1店舗のみの経営や個人店こそ、オーナー様の思い込みや昔からの経験だけに頼った仕入れ・メニュー開発に陥りがちです。POSデータを可視化することで、限られた在庫スペースや仕入れ資金を「本当に利益を生んでいる商品」に集中させることができ、廃棄ロスの削減や粗利率の向上にすぐ効果を発揮します。

ExcelでPOSデータを分析する際、最初にやるべきおすすめの分析は何ですか?

最初に取り組むべきは「粗利益額を基準にしたABC分析」です。売上高(売上数量×販売価格)だけで並べるのではなく、「(販売単価−仕入原価)×販売数量=粗利益額」を計算し、粗利貢献度の高い順に並び替えてみてください。上位20%の商品がお店の利益の大半を支えていることや、売れているのに利益があまり残らない「効率の悪い商品」が一目瞭然になります。

POSデータを見ても、具体的にどんなアクションを起こせばいいか分かりません。

データを分析する前に、「解決したい現場の課題(問い)」を1つ決めることがコツです。例えば「夕方の食品廃棄を減らしたい」「レジ横商品のついで買いを増やしたい」といった目的を設定すると、見るべき指標(時間帯別売上推移や併売データなど)が自然と絞られます。分析結果をもとに「POPの位置を変えてみる」「発注量を10%調整してみる」といった小さな実験を行い、翌週のデータで変化を確認する「仮説検証サイクル」を回してみましょう。

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松田 悠太郎
中小企業診断士
コンビニエンスの本部社員として、加盟店の経営支援に約10年従事。大手映画館チェーンにて、映画館運営および店舗マネジメントに従事。2022年に中小企業診断士資格を取得し、株式会社Revを設立。

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